東芝情報システム株式会社

HACCPとは?意味・義務化・目的・対象企業や何をするのかなどの対策方法を解説 第4回 (全5回)

第4回:HACCPの対象企業と何をするのか?対策・対応方法

HACCPとは 資料請求

HACCP の対象企業

食品業界(食品工場・スーパー・飲食店など)

「第2回:食品衛生法改正の概要」でも少し記しましたが、今回の HACCP に沿った衛生管理についてはすべての食品事業者が原則対象となります。ただし、公衆衛生に与える影響が少ない営業(輸入業、貯蔵又は運搬業、常温保存できる包装食品の販売業、合成樹脂以外の器具容器包装の製造販売業、器具容器包装の輸入又は販売業)については食品等事業者として一般的な衛生管理のみの実施が求められ、HACCP に沿った衛生管理は求められません。

農業・漁業

農業・漁業が行う採取の一部と見なせる行為(出荷前の調製等)は、今回の改正食品衛生法の HACCP に沿った衛生管理の対象とはなりません。国際的にはフードチェーンというと Farm to Table ※1 が一般的です。日本国内では農業や水産業の採取に当たる部分の管轄省庁が農林水産省、その後の製造、調理の管轄省庁が厚労省と分かれているためです。ただし、採取後、それを加工し何か食品を製造する場合は、食品衛生法に定める営業許可を取得し HACCP に沿った衛生管理が求められます。また、農業版の HACCP と似たような管理手法として、国際的な第三者認証制度である農業生産工程管理(GAP)というものがあります。

※1直訳すると「農場から食卓まで」ということ。食の安全を管理するために農畜産物の生育から搾取、製造から消費者に届くまでのフードチェーン全体をカバーし、トレースするという米国では一般的な考え方。

フードチェーン

HACCPとは 資料請求

HACCP は何をするのか?対策・対応方法

HACCP 方式は入荷から製造・出荷に関わる全ての工程を監視し管理するシステムです。まず一番に重要なのは経営者のコミットメントです。経営者が従業員に対し、衛生管理を強化し、自分たちの大切な人へも自社で製造する商品が誇りをもって勧められるような意識を持つ大切さを発信し、全社一丸となって「やるぞ!」というモチベーションを上げ、ワンチームになることです。また、何かいつもと違う異変を少しでも感じたら管理者へ何気ないことでもすぐ相談できる社風です。こういう細かい普段からの気づきが大きな事故を防ぐことにもなるからです。では、具体的に何をするのかということですが、主に以下を行います。

HACCPの12手順7原則
  1. 各製造部門の責任者を集め、経営者と品質管理部も加えて HACCPチームを結成します。

  2. 製品の原材料や原産地、特性などを記した製品説明書を作成します。ここに簡単なレシピを書いてもよいです。

  3. 自分たちが製造する製品が最終的にどういった消費者が喫食するのか、喫食前の加熱の有無などを確認します。これらは上記の「製品説明書」に記述してもかまいません。

  4. 原材料、副原料の受け入れから製品が出荷されるまでの工程を流れに沿って書き出します。(フローダイアグラム)

  5. 製造工程図(フローダイアグラム)が出来たら、実際の現場をみて、人・物の動きと、矛盾と無理がないかを確認します。

  6. [原則1] 工程ごとにどういった所に危害要因があるのか、この後の工程にこの危害要因を殺滅、除去できる工程があるのかどうかを確認します。ただ、ここで気をつけなければいけないのは全ての現場で必ず危害要因(ハザード)があるわけではありません。危害要因がないのであれば、ないと分析した根拠をしっかり残しておきます。

  7. [原則2] 危害要因抽出が出来たら、その危害を殺滅、除去する手段を決定します。(重要管理点)

  8. [原則3] 上で決定した重要管理点を適切に管理するための基準を決めます。

  9. [原則4] この重要管理点が正しく管理をされているのか定期的に確認してそれを記録します。

  10. [原則5] もし重要管理点の基準を逸脱していた場合の取り扱いや逸脱していた場合の改善措置を決定します。

  11. [原則6] 決めた手順に沿って実施できているか、作業のキャパを超えていないか確認し、修正が必要であれば必要に応じて実施します。

  12. [原則7] 記録をどう残し、保存するのか設定します。問題発生時には、これを見て工程ごとに管理状況を遡って原因を検証します

上記の通り Codex の 12手順 7原則に沿って対応していくわけですが、普段から慣れている事業者は少なく、今回の法制化で初めて取り組もうとしている事業者の方がほとんどで何からどう手を付けてよいのかわからないというケースも多いと考えます。
そういう時はまず現状ある記録書類を整理確認します。HACCP の概念では記録していないことはやっていないことと同じと定義づけられているため、まずどの記録があるのかを整理してみてください。次に自社の業種と同一の業界団体が発行した手引書を用いて、今持っている記録とすり合わせ、書類の有無を精査してみてください。「HACCP に基づいた衛生管理」の事業規模の場合、公開されている手引書が限られているため、まずは「HACCP の考えを取り入れた衛生管理」の手引書の衛生管理計画を参考にしてみてもよいかと思います。今回の法改正でも食品衛生監視員が監視指導で確認するのも、この衛生管理計画の部分です。
ここで、まず頭の整理ができるといざ本格的に準備に入ろうとしたときに現状の過不足が見える化できます。もう1つ方法としてわかりやすいのは厚労省から発行されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」も活用できます。これは今回の法制化以前からあったもので給食などの大量調理施設向けですが Codex の HACCP に沿った内容で要点がわかりやすくまとめられているのが特徴です。

HACCPは何をするのか

HACCPとは 資料請求

第4回では、HACCP の対象企業と何をするのか?対策・対応方法について解説しました。次回は、HACCP の対策における問題点とシステム化についてご紹介します。

第5回:HACCP の対策における問題点とシステム化

関連情報・サービス

  • HACCP向けスーパー食品温度管理システム

    温度管理が必要なところにセンサを設置するだけで、温度データを自動で収集して記録・保管するシステムです。センサは電池で作動。記録したデータはパソコン、スマホ、タブレットを使っていつでも確認できます。

お気軽にお問い合わせください。当社の製品・サービスは企業・団体・法人様向けに販売しております。

電話番号044-246-8320

受付時間:9:00~17:45
但し、土曜・日曜・祝日および当社休業日を除く