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有明高専ロボット研究部 活動報告

有明高専ロボット研究部 - 地域連携を武器に技術力向上と優勝を狙う -

analogramトレーニングキット を専攻科の授業に取り入れている有明工業高等専門学校(以下、有明高専)は、福岡県大牟田市に所在する高度技術者の育成を目的とした、国立の高等教育機関だ。積極的な地域連携と、近隣の高専との技術交流を通して「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(以下、高専ロボコン)に挑戦する同校のロボット研究部(以下、ロボコン部)をご紹介する。

始まりは Do It Yourself !?

有明高専ロボコン部の歴史は、1990 年代の「DIY 同好会」から始まり、2004 年頃にロボコン好きが集まった「ロボット愛好会」につながった。はじめは数人の愛好会としての活動だったが、現在では部員数が33 名(うち女子4 名)まで増え、部長の中山隼さんを中心に活気にあふれた仲のよい部活動を行っている。

左から、副部長の徳永翔太さん、山村雅斗さん、部長の中山隼さん
左から、副部長の徳永翔太さん、山村雅斗さん、部長の中山隼さん

高専ロボコンでは各校、地域を題材にしたロボットでエントリーするのが一般的だ。有明高専でも、大蛇にかまれると1 年無病息災という「おおむた大蛇山まつり」の大蛇をモチーフにしたロボットや、有明海の干潟に多く生息する「むつごろう」、世界遺産にもなった「三池炭鉱」をテーマにしたものなど、多くのユニークなロボットを製作してきた。「DIY 愛好会」からスタートしたロボコン部だが、企画力や設計力、技術力は年々向上しているという。

ウケを狙うか? ガチでいくか?

2019 年の高専ロボコンのテーマは、「らん♪ Run Laundry」。ロボットがT シャツ、バスタオル、シーツを3 本の物干し竿にそれぞれ干していく。ロボットが規定の時間内に、いかに洗濯物を美しく干せるかが勝負だ。

通常、高専ロボコンでは一校あたり2 チームで課題に挑戦していく。有明高専でも、役割の違うA チームとB チームを編成している。A チームは面白いアイデアで勝負し、会場を沸かせていこうと奮闘するチーム。今回は、タオル、シーツを投げてかけることに挑戦する予定。空中で形状の変化しやすい布類をどのように投げるのかは、大会当日までのお楽しみだ。確実に点数を稼ぎ、ガチで優勝を狙うのがB チーム。こちらはどのように課題に挑戦していくか、まだトップシークレットだ。

両チームとも各々2 台のロボットを製作するが、A チームは手動型と自律型、B チームは2 台とも自律型でライントレース、画像認識などの技術を駆使している。

アイデアは全員で、製作は分担で!

ロボットのアイデアは部員全員で考え、設計班に提出する。設計班はアイデアを図面に起こしてブラッシュアップしていき、各チームは設計班と相談しながら製作を進めていく。最初は作っても強度、寸法、精度などに問題があり、うまく動かなかったり壊れたりすることが多い。実験を何度も繰り返し、完成度を上げていく。途中、対立する意見などが出ることもあるが、技術的な合理性をもとに話し合いを進めることで自然と案はまとまっていくという。「自分たちが考えたアイデアが形になってくると、楽しいし嬉しい」と中山さんは目を輝かせる。

部室の様子
(左)ロボットの製作スケジュールが書き込まれたホワイトボード
(右)元ボイラー室を流用した天井の高い部室

昨年の高専ロボコンでは、スケジュール管理がうまくいかず、ギリギリまで製作に時間がかかってしまった。今年は製作を前倒して進め、練習や調整に時間を使い余裕をもって大会に挑みたいとのこと。目標は全国大会出場!アイデア賞も狙っていく。

製作中のロボット
製作中のロボット(土台部分)。これ以上はトップシークレット

大切なことは地域との連携、そして共に育つということ

有明高専では過去に、小中学生を対象にしたロボットJ リーグを開催し、子供たちの興味関心を高める活動なども実施している。地域と連携したこのような活動が実を結び、今ではロボコンをやりたくて同校に入学してくる学生もいるほどだ。「ロボコンマガジン」を毎号愛読しているという金子政弘さんは、そんなロボコニストの一人。

ロボコンのことになると話が止まらない。左から田中航洋さん、森晟芳さん、
ロボコンのことになると話が止まらない。左から田中航洋さん、森晟芳さん、"ロボコニスト"金子政弘さん

高専ロボコンに出場した後は毎年、九州地区近隣の高専が集まって2 泊3 日のオフ会を実施している。各校の作ったロボットの機構がどう動いていたかなどを確認し、良かった点、問題点などを泊りがけで話し合う。オフ会ではミニロボコン大会なども行い、お互いの技術力向上をめざしている。

ロボコン部の顧問は全員で4 名。写真は左から篠﨑烈先生と坂本武司先生。
ロボコン部の顧問は全員で4 名。写真は左から篠﨑烈先生と坂本武司先生。

「アイデアが正攻法なことが多いので、もっと柔軟な発想でアイデアを出していってほしいと思っています。さまざまな交流を通じて、他校のようにおもしろくユニークなアイデアが出てくることを期待しています」(篠﨑烈先生)

地域との連携、そして他校との積極的な交流。このような活動が企画力や設計力、技術力向上の原動力となる。有明高専ロボコン部は、ロボコンという競技を通じて人に影響を与え、人の影響を素直に吸収していく、人間力の高い【高度な技術者】を輩出している。

本記事は2019年6月に取材した内容をもとに構成しています。記事内における組織名、役職などは取材時のものです。

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