Bluetooth とは何か?第1回 [全3回]
Bluetoothの特徴と歴史
Bluetoothは、モバイル機器同士を接続する近距離無線通信方式として1999年に登場しました。スマートフォンやタブレットに標準搭載されるようになったことで、一般に認知、利用されるようになりました。このコラムでは、特徴や歴史を振り返りながら、Bluetooth Classic と Bluetooth Low Energy の違いなどについてご説明します。
Bluetooth 特徴
Bluetooth 特徴1 「ワイヤレス技術」
Bluetoothは、2.4GHz帯の無線周波数を利用した近距離無線通信規格です。2.4GHz帯を利用しているため、免許が不要で、手軽に利用できるのが特徴です。
PC、スマートフォン、タブレット、ヘッドセット、カーナビゲーション・カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、プリンタ、デジカメ等の機器を無線で接続するための標準ワイヤレス技術を実装しています。これにより、多種の機器間でネットワークを構築できるようになりました。特にモバイルでは、低消費電力、低価格、小型化を目指しています。
Bluetooth 特徴2 「接続方法」
Bluetoothは複雑な設定が不要です。一度、ペアリングをすると、あとは電源をONにするだけで自動接続が可能になります。さらに、常時接続ではなく、Bluetooth通信したいときに接続し、通信が終了したときに切断するようなことも可能です。
Bluetooth 特徴3 「ロゴ認証機関とグローバルな規格」
Bluetoothには、ロゴ認証機関が存在し、互換性を保証しています。さらにグローバルな規格であるため世界中で活用可能です。利用シーンを想定した仕様「Profile」も策定されているため、活用しやすい仕組みです。
Bluetooth 名前の由来
Bluetooth という名前は、10 世紀にデンマークとノルウェーを無血統一したデンマーク王 ハラルド・ブロタン(Harald Blåtand)に由来しています。Blåtandを英語に音訳したのが「Blue Tooth(青い歯)」です。当時の「2ヶ国の統合」を現在の「通信の世界とコンピュータの世界の統合、さまざまな国籍の企業の統合」にたとえ、Bluetoothという名称がつけられました。
BluetoothロゴマークはHarald Blåtandの頭文字"H.B"を図案化したものです。
Bluetooth 歴史
1994年スウェーデンのEricsson社が新しい近距離無線通信規格の開発を開始、1998年5月にPromoter5社(Ericsson、Nokia、Intel、IBM、東芝)でBluetooth SIGを設立し、規格策定開始しました。現在まで公開された仕様とバージョンは以下に通りです。
- 1999年7月 Bluetooth 1.0
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一般公開された最初のバージョン
- 1999年12月 Bluetooth 1.0B
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Bluetooth 1.0に修正を加えたバージョン
- 2001年3月 Bluetooth 1.1
- Bluetooth 1.0に修正を加えたバージョン
- 2003年11月 Bluetooth 1.2
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- Bluetoothと同じ周波数帯(2.4GHz 帯)を利用する無線LANとの相互干渉を低減する機能を追加:AFH (adaptive frequency hopping)
- 検索/接続の高速化機能を追加: Faster Inquiry / Faster Connection
従来の1/5から1/10(3~4秒:Worst Case 10秒 → 0.2~0.5秒: Worst Case 2秒) - 音質を向上する機能を追加:eSCO (Enhanced SCO)
ノイズ環境下でロスしたパケットを再送信するエラー訂正機能により、通信の効率化
音声データのビットレートを64Kbpsから100Kbpsに引き上げ、音質を改善
- 2004年11月 Bluetooth 2.0 + EDR(Enhanced Data Rate)
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データ転送を向上する機能を追加
- 2007年 7月 Bluetooth 2.1 + EDR(Enhanced Data Rate)
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高速で簡単なペアリング(セキュリティも強化)機能を追加:Simple Paring
超低消費電力機能を追加:Sniff Subrating - 2009年 4月 Bluetooth3.0 + HS(High Speed)
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転送速度の高速化(無線LAN規格IEEE 802.11のMAC/PHY層を利用)機能を追加
- 2009年12月 Bluetooth 4.0 (正式リリースは2010年7月6日)
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Bluetooth Low Energy機能(低消費電力デバイス向けに、より省電力に特化した機能)を追加
- 2013年12月 Bluetooth 4.1
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- Bluetooth Low Energyのデータ転送を効率化する機能を追加
- Bluetooth Low EnergyにLTEとの相互干渉を低減する機能を追加
- Bluetooth Low Energyに自動再接続機能を追加
- Bluetooth Low Energyに直接インターネット接続できる機能を追加
- Bluetooth Low Energyにセントラルとペリフェラル同時動作機能を追加
- 2014年12月 Bluetooth 4.2
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Bluetooth Low Energyに強度の高いセキュリティ機能を追加
Bluetooth Low Energyのデータパケットサイズ(27バイト→251バイト)を拡張 - 2016年12月 Bluetooth 5
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Bluetooth Low Energyに転送速度の低速化/高速化機能を追加
Bluetooth Low Energyに転送速度による通信範囲拡大機能を追加
メッシュネットワーク対応機能を追加
今回は、Bluetoothの特徴と歴史についてご紹介しました。次回は、「Bluetooth Classic」と「Bluetooth Low Energy」の違いについて詳しくご紹介します。
「第2回 Bluetooth Classic と Bluetooth Low Energy(BLE)の違い」へ
Bluetoothを使った製品開発には、Bluetooth認証(SIG認証)が必要です。SIG認証の必要性と認証の工数(時間や費用)を削減する方法を下記のページでご紹介しています。
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