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HACCPとは?意味・義務化・目的・対象企業や何をするのかなどの対策方法を解説 第2回 (全5回)

第2回:食品衛生法改正の概要

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食品衛生法改正の概要

1. 広域的な食中毒事案への対策強化

これは自治体向けのものですが、今まで食中毒事案が発生していても自治体間で共有されていませんでした。近年のわかりやすい事例では、埼玉、群馬両県で、ポテトサラダを原因食品とした病原性大腸菌食中毒事件です。都道府県各地で発生するも、対応の遅れにより事件の拡大が防止できず、加熱済み食品からも病原性大腸菌が検出され、原因がトングだとかキュウリだとかさまざまな物議を醸しだしましたが、結局、真の原因がわからないまま現在にいたっています。今後このようなことをなくすためにも、各自治体で事案発生時に迅速に情報共有をし、事態が深刻と思われる場合は必要に応じて厚労省が広域連携協議会を設置し、対処するというものです。

2. HACCPに沿った衛生管理の制度化

全食品関連事業者が対象となります。原則として Codex の定めた 12手順 7原則を元に衛生管理をしていくこととなりますが、規模や取り扱う食品の特性に考慮して弾力的な対応をすることになります。製造従事者 50名以下、提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種、小売販売のみを目的とした製造は「HACCP の考えを取り入れた衛生管理」の対象事業者となり、各業界団体が作成し、厚労省が確認済みの手引書または手引書に準ずるものを用いて衛生管理をしていくことになります。

上記以外の食品事業者が Codex の 12手順 7原則に沿った「HACCP に基づく衛生管理」を用いて衛生管理していくこととなります。ただし、「HACCP の考えを取り入れた衛生管理」の対象事業者でも Codex の 12手順 7原則に沿った「HACCP に基づく衛生管理」さらに対EU、対米向けの衛生管理へステップアップすることができるとあります。

3. 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集

これはいわゆる健康食品です。薬品と違い、製造管理が適切でなく、含有量が適切でない事案もあり、また科学的根拠に基づかない摂取目安量の設定により、健康被害を生じたケースが見受けられます。サプリメントを含む健康食品などは成分が濃縮されており、食品そのものを摂取した時よりも健康被害が大きくなる可能性があります。今までは健康食品による健康被害情報の収集が制度化されていないため、必要な情報収集が困難でした。食品衛生上の危害の発生を防止する観点から特別の注意を必要とする成分を、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したものを指定成分とし、指定成分等含有食品に関する製造を行っている事業者には適正製造規範(GMP)を製造・品質管理基準として規定しました。

また、指定成分含有食品を製造する事業者は、その取扱う健康食品が人の健康に被害を生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、都道府県知事等に被害情報の届け出をすることが義務化されました。

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4. 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備

合成樹脂器具・容器包装の安全性や規制の国際整合性を目的として、原則全ての物質の利用を禁止した上で、リストにあるもののみ使用を認めるポジティブリスト制度に改正されました。改正前までは原則利用を認め、利用してはいけない成分のみを規定するネガティブリスト制でしたが、海外で禁止されている成分のものが入っていても直ちに禁止することができませんでした。また国際的にはポジティブリスト制のほうが一般的であり、今回の法改正により、国際的な基準をそろえたことになります。なお、経過措置期間は5年とされており、令和7年6月以降はこの制度に基づき遵守しなければいけなくなります。

5. 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

現行の34業種から32業種に再編され、新たに届出制度が創設されました。原則 1施設 1許可を基本とし、製造できる範囲を拡大して、関連する加工品を同一許可内で製造できることとしました。今までは一つの事業者が関連する加工品を製造しようとする場合、複数の営業許可を取得しなければいけない事象が発生しており、各行政によりバラつきも多数発生していました。また、届出制度を創設し、行政の食品衛生監視員が対象事業者を把握し、適切な監視指導をできるようしたものです。許可業種、届出業種いずれも HACCP に沿った衛生管理が必須となり衛生管理計画の作成が必須になる一方、公衆衛生に与える影響が少ない(食品衛生上のリスクが低い)営業として厚労省が省令で認める業種に限り届出不要とし、一般衛生管理の範疇で管理し、衛生管理計画も求めないものとしています。施設基準も行政は厚労省の定める基準を参考にしなければならず、今回の改正で全国平準化が図られます。なお、HACCP に沿った衛生管理に伴う新たな施設規定は求めません。このことからも本来の Codexベースにより近い改正ということがわかります。

6. 食品リコール情報の報告制度の創設

食品事業者のリコールを、行政が確実に把握するために創設された報告義務の制度です。報告対象は法令違反、または恐れのある食品です。ただし、容易に回収できることが明らかな場合、消費者が飲食の用途としないことが明らかな場合は除外されます。危険度に応じてクラスⅠ~Ⅲに分類されます。

7. その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等※1)

現行では、HACCP に基づく衛生管理の確認は行っていません。今後は相手輸出国により検査や管理が適切に行われているか確認し、輸入食品の安全性を確保するため、現行の肉、家禽、食肉製品に加え、乳製品や水産食品の衛生証明書の添付を輸入要件としました。また輸出先国の衛生要件を満たすことを示すため、国・自治体における衛生証明書の発行等の食品輸出関連事務の法規定が創設されました。農林水産物及び食品の輸出を円滑化する措置として、これまで法律上の根拠規定のなかった (1)輸出証明書の発行、(2)生産区域の指定、(3)加工施設の認定について主務大臣及び都道府県知事等ができる旨規定が設けられました。これでもわかるように、国が海外への輸出を積極的に促していることがよくわかります。

※1後に令和2年4月1日施行「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」(輸出推進法)に移管
農林水産省「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律(輸出推進法概要)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/houritsu.html

今までは HACCP支援法にしても食品衛生法にしてもハード面に偏りがちでした。これが HACCP は施設や設備が整っていなと導入できない、難しいという大きな誤解を招きました。ただ今回の法改正では比較的 Codexベースの法改正となっています。ハードよりもソフト面の強化、事業者自らが主体的に衛生管理を行うことを促す内容となっています。

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第2回では、食品衛生法改正の概要について解説しました。次回は、HACCP の必要性・目的と管理者や認証・認定についてご紹介します。

次回公開は、2021年4月ごろを予定しています。

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