東芝情報システム株式会社

エッジAI技術への取り組み事例

エッジAI技術への取り組み

ここでは、当社が取り組むエッジAIを使った事例を紹介します。

エッジAI技術への取り組み 事例

エッジAI取り組み事例1:ネズミ検出システム

エッジAI技術を使った、当社の取り組み事例をご紹介します。

当社のビジネスパートナーである国際衛生株式会社様と共同で、エッジAIによる物体検出技術を応用した害獣(ネズミ)検出システムの開発を行っており、現在 PoC(実証実験)を行っています。

このシステムは、倉庫などネズミを駆除しなければならない環境にエッジAI端末とカメラを設置し、カメラに映ったネズミを検出・通知するシステムです。エッジAI端末がネズミを検出すると、検出結果がクラウドサーバ経由でユーザにメール通知されます。

この事例はエッジAIでシステムを実現することで、クラウドやユーザに送信するデータは検出結果画像のみとなっており、通信量を大きく節約できています。同様のシステムをクラウドAIで実現した場合、カメラ撮影画像をクラウドに随時送信する必要があり、通信量が大きく膨らんでしまいます。

ネズミ検出システム全体像
ネズミ検出システム全体像

エッジ端末には事前に収集したネズミ画像を使って構築された、ネズミを検出する物体検出モデルがインストールされています。このモデルはIntelのOpenVINO*1という技術でハードウェアに最適化されており、クラウドのようにハードウェアリソースが豊富ではないエッジ端末でもリアルタイムにネズミを検出する機能を実現しています。

*1インテル®ディストリビューションのOpenVINO™ ツールキット

ネズミ検出実現技術

ネズミ検出システムは次の技術を利用して実現しています。

物体検出

エッジAIシステムの構築技術」の項で記載した、物体検出を使って実現しています。この事例では、あらかじめネズミの画像を収集しておき、AIに学習させることで、ネズミを検出するAI物体検出の機能を実現しています。

物体検出の学習には大量の学習画像データと計算機リソースが必要になりますが、当社では転移学習という、あらかじめ十分に学習したAIに対して目的の対象(ネズミ)を追加学習する手法を使い、数千枚オーダーの比較的少ない学習画像データでネズミ検出のAIモデルを構築しています。

Intel OpenVINO

学習したネズミ検出モデルは Intel OpenVINO技術で最適化しエッジ端末で動作させています。

Intel CPU内のIntel HD Graphicsで処理することでネズミの物体検出をリアルタイムに動作させています。

ネズミ検出動作例

PoC開始にあたり、事前に実験環境でエッジAI端末を使ったネズミ検出確認を行った動作例をご紹介します。

この実験では暗幕で光を遮断した空間にネズミを放し、高さ3mの位置に設置した赤外線カメラでネズミを検出する実験を行っています。

ネズミ検出結果

[YouTube 0:06 / 更新 2021.07.19]

エッジAI取り組み事例2:メータ読み取りウェアラブル・システム

エッジAI技術を使った、当社の取り組み事例の2つめをご紹介します。

工場などには多数の設備・機器があり、それらの稼働状態を把握するため多くのメータ類が付属しています。多くの工場では機器が正常に動作しているか確認するために、現場の作業員が稼働状態を確認するために巡回し、各メータの値を目視で確認して回る必要があり、大変な労力がかかります。その上目視の確認では、確認やチェック漏れ、確認したメータ値の記載ミスが発生することもあります。

そこで、当社ではカメラを搭載したメガネ型のウェアラブル・デバイスで、撮影したメータの値を自動で読み取るシステムの提案を行いました。このウェアラブル・システムは視界に入ったメータの場所をAI物体検出技術で判定し、検出したメータ値の読み取り、記録を実行し、現場のメータ確認作業をサポートします。

この事例はエッジAIでシステムを実現することで、リアルタイムのメータ読み取りを実現しています。同様のシステムをクラウドAIで実現した場合、クラウドとの通信遅延でリアルタイム動作ができず、ユーザの操作性が大きく損なわれてしまいます。

現場のメータ確認作業からウェアラブル・システムを使ったメータの自動読み取りへ
現場のメータ確認作業からウェアラブル・システムを使ったメータの自動読み取りへ

メータ読み取り技術

メータ読み取りウェアラブル・デバイスは次の技術を利用して実現しています。

物体検出

エッジAIシステムの構築技術」の項で記載した、物体検出を使って実現しています。この事例ではあらかじめメータの画像を収集しておき、AIに学習させることで、メータの位置を検出するAI物体検出の機能を実現しています。この事例で使ったメータは4種類あり、4種のメータを個別に学習させることでメータの種別も判別しています。

メータの物体検出モデルも転移学習を使うことで、1メータあたり2000枚前後の比較的少ない学習画像データでAIモデルの学習を行っています。

Intel OpenVINO

物体検出アルゴリズムをOpenVINOで最適化し、エッジ端末の CPUでメータ検出を動作させています。

画像処理(輪郭検出)

ウェアラブルカメラ画像から物体検出でメータの位置を検出した後、メータ盤面の針の角度からメータの値を読み取ります。メータの針のように特徴の少ない対象は、物体検出での判断が難しいため、画像処理でメータ盤面にある針の輪郭を検出し、針の角度から値を読み取ります。AIによる処理が不向きな場合は、このように目的に応じて最適な手法を組み合わせることでシステムを実現します。

メータ読み取り動作例

メータの場所を認識している様子

[YouTube 0:03 / 更新 2021.08.05]

近年注目を集めるエッジAIについて、クラウドで実現するAIとの対比で特徴を紹介させて頂きました。当社、取り組み事例でもご紹介させて頂いたように、エッジAIはビジネスの現場でリアルタイムに動作するAIが必要なユースケースで重要な技術となっております。

当社は今後もエッジAI技術への取り組みを継続し、エッジAIの取り組みについて今後も事例を拡充していく予定です。

ご意見・ご要望など、お気軽にご連絡いただけると幸いです。

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