新型アナログニューロンチップを開発し、基本性能を実証
2019年11月20日
東芝情報システム株式会社
新型アナログニューロンチップを開発し、基本性能を実証
~アナログニューロンチップにより、高速反射的な知的処理を超低消費電力で実現~
東芝情報システム株式会社(本社:川崎市川崎区、取締役社長:渡邉一正 以下、東芝情報システム)は、株式会社 東芝(本社:東京都港区、代表執行役社長 COO綱川智 以下、東芝)と共同で、東芝が脳模倣型ハードウェアとして研究開発しているアナログニューロンチップの動作原理に基づき、ICを開発し基本的な演算動作および処理性能を実証しました。
発表のポイント
- ニューラルネットワーク向けのアナログ回路を搭載したIC(以下、本IC)を開発
- 超低消費電力での長期安定動作を実現する本ICの基本性能を実証
- 超低消費電力で安定動作しながらも、事象発生時に高速に反応する「脊髄反射神経的」な知的処理
(人間の知的活動に近い情報処理)を実現 - 今後、低消費電力動作が求められるIoT機器などへの搭載が期待される
開発の背景と市場動向
総務省の予測では、2021年に全世界で400億個を超えるIoTデバイスが稼動するとされています。また近年、AI処理をIoTデバイスのような小型な機器に実装するために、低消費電力で高速に動作可能な専用ハードウェア技術が求められています。
一般的に、ニューラルネットワークに代表されるAI処理では非常に多くの演算を行います。マイコン等で実装される汎用的なデジタル演算器では、超低消費電力で高速にニューラルネットワークを動作させることは困難と考えられています。一方、ニューラルネットワークのモデルである脳は、数十ワット程度で効率的にアナログ動作していると言われています。そこで、脳のようにアナログ動作するニューラルネットワーク向けハードウェアが有望ですが、半導体のアナログ回路では超低消費電力の環境において不安定になりがちであるという技術課題がありました。
また、IoT機器には様々なセンサーが繋がり、リアルタイムでの情報処理が求められます。生体内の脊髄反射のようにセンサーからの入力に対し高速に応答可能な、超低消費電力のニューロン回路をICで実現することが期待されていました。
本技術の特長
東芝情報システムと共同研究を行う東芝は、超低消費電力の環境においてもニューロン回路を安定的に動作させるため、抵抗器でアナログ電流を制御して比較出力し、入力信号によりアナログ電流をクロス状に切り替える独自の動作原理を考案しました。東芝情報システムは、この技術を活用した本ICをシステム設計、試作、評価を行って開発。ニューロン回路として基本的な演算動作および処理性能を実証しました。
本ICのニューラルネットワークとしての反応速度は、同程度の消費電力で動作するマイコン等と比較して10倍以上高速であることから、生体内の脊髄反射のように高速で知的な処理が可能です(図1、図2)。本ICを用いることでIoT機器のセンサー情報による異常検知、故障予兆検知などの高速化が超低消費電力で実現できます。また本ICの試作により確認された超低消費電力化の基本原理をさらに発展させることにより、将来、監視データやセンサーデータ等が爆発的に増加しても、クラウドを圧迫せず、個別の組込み機器やIoT機器等で学習や推論ができることが期待されます。


本成果は、2019年11月20日~22日開催のEmbedded Technology 2019/組込み総合技術展(パシフィコ横浜)および、2019年12月11日~13日開催のSEMICON Japan 2019(東京ビッグサイト)にて展示を行う予定です。
組込み総合技術展「Embedded Technology 2019」出展のご案内
今後本ICは、AIの低消費電力動作が求められる小型の組込み機器、IoT機器などへの搭載が期待されます。東芝情報システムはこれからも、業界をリードするLSIソリューションを提供してまいります。
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