東芝情報システム株式会社

事例紹介LSIソリューション

analogram トレーニングキット 導入事例 「有明工業高等専門学校」

本物の集積回路を体感。「頭を使う」アナログ電子回路教育

analogram トレーニングキット 導入事例 「有明工業高等専門学校」

導入ソリューション:アナログ回路の学習なら「analogramトレーニングキット」

有明工業高等専門学校は、福岡県大牟田市に所在する高度技術者の育成を目的とした、国立の高等教育機関だ。 創造性・多様性・学際性・国際性に富む実践的な高度技術者を育成する理念に基づき、毎年多くの優秀な技術者を輩出している。 同校の教育課程は、5年間の本科と2年間の専攻科で構成されている。 このたび効率よくアナログ回路の学習をするため、専攻科の授業でanalogramトレーニングキットが採用された。

課題

座学で知識として蓄積するだけでは、システムに組み込まれる電子回路を意識・イメージすることができないのが現状だった。 実験やシミュレーションなども行っているが、圧倒的に授業時間が足りていないため、実験・実習を効率よく行う必要に迫られていた。

解決

シミュレーションでは実感できなかった本物の集積回路を体感。紙に書いて、計算して、パソコン上で回路を構成し、それをICで検証するという「頭を使う」電子回路教育を効率よく実現することができた。 自分専用のアナログ回路を作っているという感じで、学生も教員もワクワクする授業ができるようになった。

導入の背景

左: 准教授 石川 洋平 様 | 右: 特命助教 野口 卓朗 様
左: 准教授 石川 洋平 様
右: 特命助教 野口 卓朗 様

有明工業高等専門学校では、電子回路の授業を通じてトランジスタ・オペアンプによる「信号の増幅」を中心に、身近な例を交えてアナログ回路の学習を行っている。「私の所属するコースは情報系なので、電子回路を組むというよりも"知っている"ということの方が重要です。あまり難しく話さないように工夫をしています」と語るのは、創造工学科 准教授の石川氏。一方で、式の展開など電気回路の基本的な復習ができるように心がけているという。

トランジスタやオペアンプ、更にはICを座学で知識として蓄積するだけでは、学生は実際の電子回路の動きをイメージできないのが現状だ。回路組立、シミュレーションなどを行うには、絶対的に授業時間が足りていない。「IoT時代には、システムに組み込まれる"電子回路"を意識することが大切だと思うので、常日頃から、より実践に近い実験・実習を効率よく行う必要があると考えていました」と振り返る。

導入の経緯

実験でイメージをつかんでもらうためには、次の3点が必要だと考える石川氏。

  1. 計測器の扱い方
  2. 電子部品への親しみ
  3. 回路組立(配線する)

「これらはパソコンでのシミュレーションでは修得することが難しい。今は、LTspiceでシミュレーションを体験して、ブレッドボードを使って回路を組み、PC上の計測器を使っての実験、シミュレーション、個別ICなどのデータシートとの比較をしてもらっています。もっと簡単にシミュレーションのように回路を組めて、実際のICを使って実験ができる環境があればと思っていました」

そんな中、石川氏は新潟県長岡市でおこなわれた「平成29年度全国高専フォーラム」を訪れた。東芝情報システムは、このフォーラムにアナログ回路の学習用教材として、「analogramトレーニングキット」を出展していた。
「入り口でもらった"analogram トレーニングキット"のチラシを見たときに、ビビッと来ました」

インタビューに答える石川氏

石川氏は説明員から商品の説明を受け、次のような点に魅力を感じたという。
「ズバリ、デジタル回路で言うところのArduinoやFPGAのアナログ版だと思いました。シミュレーションでもなく、ディスクリートでもなく、その中間。プロトタイピングにも使える。このワクワク感を伝えるだけでも、アナログ回路の教育に大きなインパクトを与えると思いました。また、簡単な回路を自在に組み替えるというanalogram自体の設計思想を知ることも、今後ますます普及するセンサ回りのフロントエンド、つまりエッジコンピューティングを実現するうえで重要となる、"信号を増幅する"、"処理する"、"アプリケーションによって回路を組み替える"ということを意識できるのでとても良いと思いました」

導入の効果

LTspiceでシミュレーションして、ブレッドボードで実験する授業では、仕組みや配線の仕方など丁寧に教えていくと、1回路で4~5時間以上かかることもあったという。

シミュレーションでは、あくまで理論値で結果がでる。実際はノイズや誤差が生じるのだが、そこはブレッドボードで回路を作り、実験して体感するしかなかった。しかし、ブレッドボードは、個人のスキルで配線に差が出てきてしまうことや、作成に時間がかかることもネックとなっていた。

analogram 評価ボード
analogram 評価ボード

一方、analogramトレーニングキットは、シミュレーションと同様にパソコン上で回路を構成するが、その後analogram(IC)に回路を書き込むことで、実際のICが簡単にできる。こうしてできたICを使えば、ブレッドボードで回路を組み上げることなく、すぐに実験ができるのだ。

「以前は、何もわからずシミュレーションに頼る学生もいました。analogramを使うことで、紙に書いて、計算して、パソコン上で回路を構成し、それを検証するという"頭を使う"電子回路教育ができるようになってきました。パソコン上で簡単に回路が構成できるため、回路作成の時間が大幅に削減でき、より多くのアナログ回路を学習できるようになっています」と石川氏は評価する。

学生からは、「最初はシミュレーションとの違いがわかりませんでした。実際にanalogramに電源や信号を入れ、思ったような波形や特性が出たときには感動しました。シミュレーションではわからなかった"ICの本物感(テストした回路を実際に使う時にそのまま焼いて使える)"が伝わってきました。自分の専用アナログ回路を作っている感じで、とてもワクワクしています。これがモノづくりの感動なんですね」との声が聞かれた。

今後の展開

石川氏とanalogram

「現在は、専攻科の学生5名の授業で使用しているだけで、まだまだ導入実績が少ないです。analogramを使った学習は、学生も教員もワクワクしています。もっとこの気持ちを、沢山の人と共有していきたい。学生も言っていましたが"本物感"、これがIoT時代に求められていることだと思います。私もフィルタの研究をしていましたが、その時に恩師(佐賀大学石川名誉教授・深井准教授)が、"実際に回路を作って、動かして、オシロスコープで信号を確かめなければいけない。シミュレーションに頼ってばかりではダメ"とおっしゃられたことが心に残っています。最近ではICが比較的簡単に作れるようになって、シミュレーション偏重になってきていると思います。昔を懐かしんで、個別部品で回路を作りなさいというのは、なんだか時代に逆行しているようで学生には言えませんでした。でも、このanalogramがあれば、その"本物感"を伝えることができるのではないかと期待しています。
アナログ回路教育は座学と実験で成り立ってきました。そしてシミュレーションが出てきて、手計算がおろそかになってきている気がしていました。もしかするとanalogramは、アナログ回路にじっくり・ゆっくり向かい合うための素敵なデバイスなのでは?と考えています」と、これからのアナログ回路教育に期待を寄せていると石川氏は語った。

石川准教授 ご紹介

2006年、有明工業高等専門学校 電子情報工学科(現 創造工学科)に着任。2008年に米国テキサスA&M大学の客員研究員を経験し、2010年より准教授。電子回路を専門として、集積回路の"計測・検証"の重要性を伝える教育を実践。「エレクトロニクスものづくり」の社会貢献やNPO法人の理事、各種委員を務める。自身の経験を活かし"起業家教育"にも積極的に取り組んでいる。電気・電子・情報の"分野を越えた連携と共同研究"も多数行う。

ICLab

ICLabは"情報・電子回路教育に新しい価値づくりを。"という目標を掲げて2016年に誕生。有明高専の石川研究室・清水研究室の融合を軸として、異業種・異分野との交流によって、沢山の"コラボレーション"をめざしている。

※ICLab : Information & Circuit Laboratory

「ICLab -情報電子回路研究室-」をみる

著書「これだけ!電子回路」

多くの人に電子回路をわかりやすく、親しんでもらうため、熱心な執筆活動を展開中。著書「これだけ!電子回路」など。詳しくは、ICLabウェブサイトをご覧ください。

法人情報

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法人名 独立行政法人国立高等専門学校機構 有明工業高等専門学校
創立 昭和38年4月1日
代表者 校長 高橋 薫
所在地 福岡県大牟田市東萩尾町150
学生数 本科生:約1,050名
専攻科生:約60名
教職員数 教員71名、事務系職員46名、合計117名
導入プロダクト アナログ回路の学習なら「analogramトレーニングキット」

本記事は2018年7月に取材した内容をもとに構成しています。記事内における組織名、役職などは取材時のものです。

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